お知らせ

卒業式 式辞

 みなさん、卒業おめでとう。僕が水海道一高に来たときにきみたちは2年生、まだコロナでの制限のかかる時期でした。正直に言うと、僕はいまの高校生ってこんなに元気がないのか、と驚きました。それだけコロナの傷は深いんだと感じました。そこからどうにかみんなに元気を取り戻して欲しいといろいろやってきました。去年の春に校長になって、5月にはコロナがようやく5類になりました。しかし、それと同時にきみたちは受験生に。なかなかうまくはいきません。そんななか、まずみんなを引っ張ってくれたのは生徒会長の明るさでしょうか?学校プロモーションビデオにも出演してくれて、学校説明会でも彼の明るさにはとても助けられました。また行事を支える委員会のみんなにも助けられました。定期戦では競技のないハンドボール部が運営をがんばってくれました。亀陵祭ではあのオープニングムービーにたまげました。部活動もがんばりました。ハンドボール部、陸上部の関東大会出場、文化部でも全国大会に出た吹奏楽部や写真部、演劇部もがんばりました。もちろんこれだけではありませんが代表的なものを挙げました。秋には面接指導など進路相談をしにたくさんの生徒が僕のところにやってきました。もっと早く来ればいいのにと思う反面、よく来たなと思っていろんな話をしました。きみたちは進路を相談するために校長室のドアを思い切ってノックできるぐらいには元気になりました。そして、いまそれぞれの進路を決め、もっと元気になっていると信じています。

 

 では、その先の話をしましょう。僕は、簡単に言うときみたちにイキイキとかっこよく生きて欲しい、そして幸せになって欲しいと思って学校を運営しています。ではイキイキと生きるとは、かっこよく生きるとはなんでしょうか?大谷翔平選手の生き方はかっこいいでしょうか?かっこいいですね!それはなぜでしょうか?人がやっていないことをやっているから、つまり、自分を高め続けているからです。かっこいい生き方とは、自分を高め続ける生き方のことです。反対に、かっこわるい生き方とは易きに流れる生き方です。たとえば、きみたちの中には大学に行ったらアルバイトをしようと考えている人もいると思います。楽してお金がたくさんもらえたらいいなと思いますよね。でもそんなうまい話はないんです。もしあったとしても、そこには必ずリスクがあります。そのリスクを考えずに易きに流れていくと、最終的には闇バイトなんていうリスクしかないところに行き着いてしまいます。易きに流れる人の目は次第に死んでいきます。一方、自分を高めている人の目は輝いていきます。これは数年で大きな差になります。目が輝いていないと当然モテません。

 

 では、自分を高めるにはどうしたらいいか?きみたちはこれまで、知らなかったことを知り、その知識の使い方を学ぶということをやってきました。いわゆる勉強というものです。この方法はこれからも続きますが、大学に入る、社会に出るというのは学校という安全地帯から外に出るということで、そこではもうひとつの学び方のほうがはるかに重要になってきます。それは行動し、経験することで学ぶということです。人は自分の常識や価値観が通用しない世界、アンコンフォートゾーン、直訳すると快適ではない領域と言いますが、に身を置くと、生存本能から急激にその環境を理解し適応しようと大きな学びを勝手にします。高校から大学にいく、社会に出るというのはまさにアンコンフォートゾーンへ行くことですから大きな学びになります。もっともわかりやすいのは外国に行くことです。そこには自分の知らない常識や価値観があり、己が大いに試されることになります。このようにアンコンフォートな経験、多様な価値観を積み重ねて人は成長していきます。いっぽうで、進んで居心地の悪いところになんか身を置きたくない、自分の知っている世界だけで生きていきたいと思う人もいるでしょう。もちろんずっとそこが安泰ならばそんな生き方もありですが、人生は100年時代と長くなり、世界はひとつにつながり、未来はますます予測が難しいと言われています。おそらく同じ狭い世界がずっと安泰であることはとても珍しいことになるでしょう。たとえば、学校の先生や公務員の世界はよく安泰であるかのように語られますが、実際そこでも少子高齢化やデジタル化など大きな変化は起こり続け、その中で自分を高め続けない限り輝くことはできません。そして自分を高めるにはアンコンフォートな行動と経験が必要になってきます。安泰なんてどこにもないんです。そして、僕を見てもらえれば、まさにいま民間とは文化がまるで違うアンコンフォートな環境で仕事をすることで何かを得ようとしているのです。

 

 次に、きみたちのうちほとんどの人は勉強の集大成として大学受験を経験しました。もうこんなにはがんばれないと思った人も多いんじゃないかと思います。実際、自分のためにこれほどがんばることはもうないと思ってもいいかもしれません。みなさんは大学に行く人もそうでない人も成人として社会に出ます。社会の中では、自分のためよりも誰かのためにがんばるんです。それが社会人です。そのときに、これまでに自分のためにがんばった人ほど、ますます人や社会のためにがんばれるし、力を出せます。僕は広告代理店だったのでよくわかります。実際、自分のためにやるよりも、クライアント企業のために仕事としてやるほうがはるかにがんばれるのです。人や社会のためにがんばって感謝される、お金もいただけるというのはとてもやりがいのあることです。仮にうまくいかなかったとしてもその経験は、次の成功につながったり、同じようにうまくいっていない人を救うことにもつながる、無駄な失敗はありません。社会で人のためにがんばる、人生の本領発揮はこれからなんです。その準備にこれまでみんなは自分を高めるための勉強をがんばってきたというわけなんです。

 

 さいごにまとめます。きみたちには、これからかっこいい生き方をして幸せになって欲しい、そのために僕を含めた全先生がきみたちのためにがんばってきました。これが先ほど言った社会人のがんばり方です。きみたちがかっこよく生きるためには、行動と経験で学び、誰かのために社会のために自分を高め続けなければなりません。間違っても易きに流れて死んだ目をしないでください。自分を高め続けて目を輝かせてください。そして、モテてください。

 

 さいごのさいごに、きみたちは僕ら先生全員の宝物です。必ず幸せになってください!

 

以上。